JLPT N1 · Question 10
Not quite
That is not the right answer.
人間と動物の決定的な相違は、装飾という面から見れば、一体いかなる点にあるのだろうか。
この問いに対し、極めて興味深い見解を提示しているのが、『衣装論』の著者として名高いエリック・ギルである。彼の主張によれば、両者の本質的な違いは、人間が服を纏っていることにあるのではなく、むしろ「服を脱ぎ捨てることができる」という点にこそ潜んでいるという。
確かに動物界を見渡せば、立派な外装を誇る種は枚挙に暇がない。しかし、人間を人間たらしめている根源は、自らの意志で、気の向くままに、衣服を着脱できる自由を享受している点にあるのだ。自分の好みに合致しなければ、即座に装いを変える権利を我々は有している。換言すれば、人間は自己を満足させるために装飾を施すが、動物にはそのような選択の余地がないのである。
指摘されてみれば、それは至極当然の真理に思えてくる。ただ、「脱ぐ」という行為に着目した点が斬新であり、これこそが一種のパラドックス(逆説)と言えるだろう。
こうした自由は、単なる衣類に留まらない。室内装飾や住宅、アクセサリー、さらには髪型や化粧といった細部に至るまで、人間は己の嗜好に従い、自律的にこれらを採用したり廃棄したりできる。その取捨選択のプロセスこそが、生の愉悦を生むのである。異性との交友関係においてさえ、同様の論理が通用すると言えば、いささか語弊があるかもしれないが。
この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
Your answer: 動物の中にも人間以上に立派な装飾を持つ種は存在するが、それらは生存のために不可欠なものである。
Correct answer: 人間と動物を隔てる真の境界線は、自らの意志と嗜好に基づいて装飾を自由に変更・選択できるという点にある。
Vocabulary
- 相違 — difference; disparity
- 纏っている — wearing; clad in
- 脱ぎ捨てる — to throw off (clothes); to cast off
- 枚挙に暇がない — too numerous to mention
- 根源 — root; source; origin
- 享受している — enjoying (a privilege); possessing
- 選択の余地 — room for choice; alternative
- 至極当然 — perfectly natural; only to be expected
- 斬新 — novel; original; innovative
- 嗜好 — taste; preference
- 取捨選択 — selection; choice (choosing and rejecting)
- 愉悦 — joy; delight; pleasure
- 語弊がある — to be a misleading way of putting it